107人が死亡し、543人が負傷したJR福知山線の脱線事故から1か月を前に、読売新聞社は遺族41人、負傷者58人から、いま直面している問題などについて聞き取り調査を実施した。

 遺族の5割が「専門家による心のケアが必要」と答え、7割が電車内での肉親の最期の様子を知りたいとしていた。また9割近い負傷者が、精神面の変調を訴えた。

 遺族調査は、記者が遺族に面談や電話で、現状や不安と心のケアの必要性、求める情報など5項目について聞いた。

 その結果、「時々、いいようのない寂しさに襲われ、ふさぎ込む」などというケースが多く見られた。今後、ケアが必要になるかもしれないと答えた4人を含めると、計21人が専門の医師やカウンセラーなどのケアを受けたいとした。

 また、「夜中に目を覚まし、眠れない」など18人が心身の不調を訴え、5人がすでに専門医などのカウンセリングを受け、睡眠薬などの処方を受けていることがわかった。

 求める情報としては、7割にあたる29人の遺族が、肉親が何両目のどの位置に乗っていたかなど最期の様子を挙げた。「家を出た時と帰ってきた姿があまりにもかけ離れ、現実感がない」などと答えた。

 負傷者調査は、JR西日本が把握している全負傷者のほぼ1割にあたる58人に対し、記者が近況や今後について10項目を面談や電話で尋ねた。その結果、4割が助かったことを思い悩んでいた。また、約9割が心身の不調を訴え、ほぼ半数が「時々、事故当時の光景がよみがえる」という経験をしていた。
(読売新聞) - 5月22日3時9分更新