このニュースを読んで感じたことがあります。

 

 JR西日本では運転士のミス、いわゆるオーバーランなどの原因は運転士の技術のほか、仕事(運転)に対する取組み姿勢に問題があると捉えていたような気がするのです。それゆえにミスをさせないために懲罰的なペナルティを課しているのでしょうか。懲罰を受けたくない者は、防衛本能として「苦痛から逃れる」ために必死で運転に取組むようになるのです。それが制限速度を無視した行動を起こさせ、日常的に「当たり前の回復運転」になっているのでしょう。


 確かに運転技術は重要です。それをベストな状態で発揮させる環境が必要ではないかと思うのです。

電車以外にも自動車などを「運転する仕事」の事故は運転技術だけが問題でなく、そのときの「精神状態」が大きく関わっていると感じています。


 事故が発生するときの「精神状態」とはどんなときでしょうか?

無理なスケジュールや欠員など「時間に追われている」「冷静な判断が出来ない」状態が多いのではないでしょうか。


 この事故で、われわれは多くのことを学ばなければなりません。もう一度、自分の会社がどうか考えてみる必要があると思います。


以下、記事


事故調、専門家らに委員委嘱
 兵庫県尼崎市のJR脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は十八日までに、JR西日本がミスをした運転士らに再教育として課していた「日勤教育」がもたらす心理的影響の実態解明に取り組む方針を固めた。日勤教育には草むしりなど運転技術教育とはかけ離れた懲罰的な内容も含まれており、事故調ではこうした再教育制度が運転士の心理にマイナスの影響を与えていた可能性もあるとみて、その解明のため心理学者らを専門委員として委嘱することを検討している。
 事故調の調査で、事故発生のメカニズムだけでなく事業者の社員教育制度にまで踏み込むのは極めて異例。JR西日本が行ってきた日勤教育は、乗務中に事故やオーバーランなどのミスを犯した運転士を乗務から外し、一定の期間再教育を行う制度。同社では「再発防止のための再教育」としているが、実際にはリポートや反省文を書かせたりするほか、草むしりをさせたりするなど懲罰的な色合いが強いと指摘されている。
 事故車両の高見隆二郎運転士(23)=死亡=も昨年六月、乗務中に約百メートルオーバーランしたため十三日間の日勤教育を受けていた。今回の事故直前にも、伊丹駅で六十-八十メートルオーバーランさせており、車掌にその距離を少なく申告するよう依頼している。事故調や尼崎東署捜査本部では、高見運転士が再び日勤教育を受けることを恐れて過少申告を依頼した可能性があるとみている。十三日の衆院国土交通委員会でも、参考人として招致されたJR西日本の徳岡研三専務(鉄道本部長)は高見運転士への日勤教育について、「本人が厳しいと受け取ったことは否定できない」と答弁している。
 日勤教育をめぐっては、昨年九月に一部労組が「日勤教育で草むしりをさせられているのでやめさせてほしい」と国土交通省に要請し、これを受けて同省がJR西に実態を確認。その結果、「職場の環境整備の一環」として草むしりを行っていることがわかったため、同省が「再教育の中で草むしりをさせるのはやめるべき」と口頭で指導していたことがわかっている。
 事故調では、高見運転士が事故直前に大幅な速度超過で運転していたのは、同社の日勤教育が懲罰的な内容を含んでいたことが背景にある可能性もあるとみて、その教育効果などについて心理学的な面から調査するものとみられる。

(産経新聞) - 5月18日15時51分更新